時計修理技能士に教わる、愛用ウォッチのメンテナンス方法とその必要性
お気に入りの腕時計、いつまでも美しく保つ努力を怠っていませんか? 服を洗濯したりアイロンがけするように、大切な腕時計も、日々のケアが大切です。その腕時計、日頃からきちんとお手入れしてますか?
取材協力:ウォッチ・ホスピタル 曽根健人さん
知らないと損をする! 腕時計のお手入れの重要性とは
■そもそも自分でメンテナンスする必要あるの?「腕時計は定期的なお手入れをされていれば、良好な状態に保てます。『精密機械だから手が出せない』と関心を持たないのは、とても勿体のない話。確かに、私どものような専門家でないと直せない領域はありますが、それがすべてではありません。日々のメンテンナンスによって見た目を左右する外装部分を美しくしておけますし、内部の精密機械部分に生じやすいトラブルを抑制させることもできるんです」
■どうやって手入れすればいい?「具体的なメンテナンス方法はこれから詳しくお伝えしますが、特別な知識は必要ありません。基本は、丁寧に汚れを拭き取るだけ。それだけで腕時計は購入時の状態に近づくことができます。道具も100円ショップや近くのお店に売っているようなものばかりで、1,000円もしないで揃えることができるでしょう。時間も5分から10分程度で済みます。できれば着用するごと、または1週間に一度のケアを心掛けるようにしてください」
■ちなみに、手入れをしていないとどうなる?「お手入れをサボっていると、まず外観がひどく汚れていきます。これは主に、皮脂汚れや汗に由来するモノ。ブレスレットのコマやケースバックの隙間にこびりつき、ひどくなると汚れも発生させます。この状態が続くと、サビが生じてしまうことも。これは最も避けるべき事態です。素人ではサビの除去が難しく、見た目が悪くなるうえ、内部にまでサビが広がれば致命的なダメージになりかねません」
プロがレクチャー! 腕時計の正しいお手入れ方法
▼毎日行いたい。基本のお手入れ
<用意するモノ>
1.ケースを拭く
2.ガラス面を拭く
3.裏ぶたの汚れをつまようじでかき出す
4.ブレスレットの汚れも拭き取る
5.ブレスレットのコマの汚れは念入りに
6.つまようじで落ちないものはブラシでこする
7.ブロアーでゴミを吹き飛ばす
8.リューズを動かす
▼腕時計のディテール別に知っておきたいお手入れのコツ
回転ベゼル
「ダイバーズモデルや一部アウトドアウォッチで搭載される、回転ベゼル。ラチェットと呼ばれる内部の歯をかみながら、カチカチと明瞭なクリック音を鳴らして回転する仕組みですが、定期的に動かさないと汚れが固着し、動かなくなることも。着用した後、何度か回転するよう習慣にするのがいいでしょう」
プッシュボタン
「2時位置にスタート/ストップボタン、4時位置にリセットボタンが付いたクロノグラフモデル。優れた計時機能は腕時計の精密性を誇るものですが、その一方、日常で使う機会はそうそうないのが実情です。あまりに長い間使用していないと、精密さにも狂いが生じてしまうもの。やはり定期的に動かしてあげることが大切です」
▼ベルトの種類別のお手入れ方法もチェック
金属ベルト
「最もお手入れが楽なのが、この金属ベルト。クロスやつまようじ、金ブラシを使ってゴシゴシと汚れを取りましょう。水に強いので、メガネのクリーニングなどにも使われる超音波洗浄機を使って水洗いすることも可能です。ただし、浸水のリスクがあるためケースは浸さないようにしてください」
レザーベルト
「革ベルトは繊細なため、つまようじや金ブラシの使用はご法度。クロスのみを使い、汚れを丁寧に拭き取りましょう。特に肌に直接接する裏側を重点的に。表面は、あまり強くこするとコーティングを傷めてしまうので、ソフトに。なにより湿気に弱いため、内部に浸透した湿気を除去するよう乾燥させて保管することも大切です」
ラバーやポリウレタンベルト
「天然ゴムを主原料としたラバーベルトや、プラスチックの一種であるポリウレタンベルトは、ダイバーズモデルやカジュアルウォッチに多様されるモノ。水に強いイメージがありますが、長時間水分にさらされると加水分解を起こしたり、割れが発生してしまうことも。そのため、クロスでしっかり汚れと水気を拭き取り、乾燥させておきましょう」
意外とやりがち。腕時計の間違ったお手入れ&扱い方
防水だからと水で洗うのは危険
スマートフォンと一緒に置く
大切な時計だからこそ。長く使うために日々のお手入れを行いましょう
「末永く腕時計を愛用したいなら、メンテナンスの頻度に関わらず、専門家による定期的なオーバーホールは必須です。しかし、普段から汚れやサビを放っておくとオーバーホール以前に大幅な修理やパーツ交換が必要になることも。毎日のお手入れを行うことで良好な状態に保っておけますし、丁寧に磨いてあげることで愛着も深まっていくもの。ぜひ適切なメンテナンス術を身につけて、腕時計を大切にしてください」
「ウォッチ・ホスピタル」
都内に3店舗を構え、Webからの申し込みも日本全国から受け付けているオーバーホール・パーツ交換・電池交換の専門店。見積もり無料、オーバーホール申し込みは送料無料。リーズナブルな価格での時計修理を提供する。
photo_Yuta Kono
カバン、靴、時計、革小物など、男のライフスタイルを彩るに欠かせないモノに詳しいライター。時代を塗り替えるイノベーティブなテクノロジーやカルチャーにも目を向ける。